図柄表:マルクス・アウレリウス帝図柄裏:フェリキタス女神発行地:ローマ帝国ローマ市造幣所発行年:164年銘文表:M ANTONINVS AVG IMP II銘文裏:TR P XVIII COS III額 面:デナリウス材 質:銀直 径:19.0 mm重 量:3.54 g分 類:RIC 113a; RSC 852d状 態:極美品表から裏にかけて以下のラテン語銘文が記されている。下記、和試訳と共に記載する。M ANTONINVS AVG IMP II TR P XVIII COS III(原文)マルクス・アントニヌス、皇帝、最高軍司令官2回経験者、護民官特権保持18回経験者、執政官3回経験者(和試訳)「M ANTONINVS」は「マルクス・アントニヌス」と発音し、これは統治者の名を示している。マルクス・アウレリウスは貨幣上は養父アントニヌスの名を使用したが歴史学上ではアントニヌス・ピウスと呼び分けるため、マルクス・アウレリウスの名で呼ばれる。「AVG」は「アウグストゥス」と発音し、本来「尊厳なる者」を意味する言葉だが、これが転じて尊敬に値する人物、すなわち「皇帝」という意味に変容していく。帝政を敷こうとしたオクタウィアヌスが共和政主義者たちの目を欺くために使用した称号で、初期は元首政というデリケートな体制を採っており、次第に帝政が定着していった。「IMP」は「インペラトル」と発音し、「最高軍司令官」を示す。当初は戦功を挙げた軍団の兵士たちが将軍に対して発する賛美の掛け声であったが、これが次第に軍の最高司令官を意味する呼称に変容した。「TR P」は「トリブニキア・ポテスタス」と発音し、これは「護民官特権保持」を意味する。貴族と平民の間で力の差があったローマでは、貴族の武力を背景に平民の意見が押し殺された。こうした背景から誕生したのが護民官制度であり、護民官には触れてはいけないという掟が創られた。これにより、平民でも政治的意見を出しやすい環境が整えられた。護民官は平民しかなれず、貴族はその役職・称号を手に入れられなかった。貴族と平民の双方の特権を所有したのが皇帝である。「COS」は「コンスル」と発音し、ローマの政務官のトップの役職を指し、現在でいうところの宰相にあたるが、同時に軍の指揮権も所有する強力な政務職だった。